車中泊旅の醍醐味のひとつが、その日の気分や立ち寄った場所で食材を調達し、限られた空間と道具で作る特別な食事です。
私が10年以上の車中泊経験で出会った数々の「車内グルメ」の中から、初心者でも挑戦しやすく、20代から60代まで幅広い年齢層に喜ばれる人気メニューをご紹介します。
これから車中泊を始める方も、すでに楽しんでいる方も、ぜひ参考にしてみてください。
車中泊の食事作りに必要な基本装備
車中泊での調理は、限られたスペースと道具で行うため、少しの工夫で快適に食事を楽しむことができます。私が長年の旅で見つけた「最小限の装備で最大限の満足」を得るための基本セットをまずはご紹介します。
これから始める方は、まずはこの基本セットを揃えることから始めると良いでしょう。車内調理の可能性を広げながらも、荷物を最小限に抑えることができる、厳選された道具たちです。
車中泊調理の必須アイテム
調理用ハサミは車中泊料理の大きな味方です。包丁よりも安全で、洗う手間も少なく、肉や野菜を適当な大きさに切るのはもちろん、パッケージを開けるのにも便利です。
私は10年間の車中泊旅で、ほとんどの調理を調理用ハサミで済ませてきました。特に初心者の方には、まな板と包丁のセットより、良質な調理用ハサミを一つ持つことをおすすめします。
肉や魚、野菜からハーブまで、思った以上に多くの食材を調理できますし、洗浄も簡単なので衛生面でも安心です。
コンパクトなアウトドア用ガスバーナーは、料理の幅を大きく広げてくれます。最近の製品は火力調整もしやすく、風よけ付きのものもあるため使いやすいです。
CB缶とOD缶の両方に対応したマルチバーナーを選ぶと、全国どこでも燃料を調達しやすく便利です。折り畳み式のテーブルがあれば、車内での調理も快適になります。
また、無水鍋やスキレットのように少ない油で調理できる鍋があると、洗い物の手間も減らせます。
車中泊で人気の朝食メニュー
朝食は一日の活力源です。特に車中泊では、朝の清々しい空気の中で味わう朝食は格別な思い出になります。忙しい朝でも手早く作れて、エネルギー補給もしっかりできるメニューを選ぶと良いでしょう。
私が全国各地の車中泊仲間から聞いた人気の朝食レシピは、調理時間が短く、洗い物も少なく、それでいて満足度の高いものばかりです。
即席ワンポットパスタ
ワンポットパスタは、その名の通り一つの鍋で完結する手軽さが魅力です。車中泊初心者から上級者まで幅広く愛されているメニューで、調理用ハサミで具材を切るだけで準備完了です。
冷蔵庫不要の保存食材で作れる点も車中泊には大きなメリットです。昔ながらのスパゲティでも良いですが、時間短縮のために早茹でタイプのパスタを使うと5分程度で完成します。
作り方は驚くほど簡単です。鍋にパスタと水を入れ、火にかけます。その間に調理用ハサミでベーコンやソーセージを細かく切り、乾燥野菜や乾燥キノコなどを加えます。
パスタが柔らかくなってきたら、残った水分を活かしてコンソメキューブを溶かし、最後に粉チーズをかければ完成です。袋入りの乾燥パセリをふりかけると見た目も良くなります。
洗い物は鍋と食器だけなので、朝の片付けも楽ちんです。
フレンチトースト風パントースト
車中泊の朝に人気なのが、フライパン一つで作れるパントースト。本格的なフレンチトーストよりも手順が簡単で、材料も少なくて済みます。
前日に買っておいたパンが翌朝少し固くなっていても、美味しく変身させられるのも嬉しいポイントです。
用意するのは食パン、バター、砂糖、牛乳パックです。スキレットかフライパンにバターを溶かし、食パンの両面を軽く焼きます。焼けたら火を弱め、牛乳を少量回しかけ、砂糖をふりかけて蓋をし、蒸し焼きにします。
牛乳の水分が飛び、砂糖が溶けてカラメル状になったら完成です。シナモンパウダーがあれば振りかけるとより本格的な味わいになります。
市販のメープルシロップやはちみつをかければ、カフェの朝食のような贅沢感も楽しめます。
車中泊で楽しむ昼食の人気メニュー
昼食は移動中や観光地での休憩時に手早く済ませたいもの。しかし、単なるコンビニ弁当や菓子パンでは旅の思い出も薄れてしまいます。
ここでは、準備や片付けが簡単でありながらも、旅の記憶に残るような昼食メニューをご紹介します。車窓から見える風景を眺めながら、あるいは絶景ポイントで食べる手作りランチは、旅の質を格段に高めてくれます。
即席カップうどんアレンジ
市販のカップうどんをベースに、ちょっとした工夫を加えるだけで、格段に美味しくなるアレンジメニューです。最小限の道具と時間で作れる手軽さがあり、それでいて満足度が高いと車中泊愛好家の間で人気です。特に移動が多い日の昼食や、雨の日の車内食としても重宝します。
基本的なアレンジ方法は、カップうどんにお湯を注いだ後、調理用ハサミでカットした薬味や具材を加えるだけ。ネギ、生卵、温泉卵、カットした海苔、ミニトマト、ツナ缶などがおすすめです。特に生卵は、うどんの熱でちょうど良い半熟状態になり、まろやかさがアップします。
季節の野菜や旅先で見つけた名産品を加えれば、その土地ならではの一品に変身します。私は北海道旅行中にカップうどんに現地の新鮮なウニを少量のせて贅沢ランチにした思い出があります。
包まない包み焼きオニギリ
お米を炊く手間なく、おにぎりのような満足感が得られる「包み焼きオニギリ」は、特に30〜40代の車中泊経験者から高い支持を得ているメニューです。コンビニのおにぎりより温かく、自分好みの具材で作れる楽しさもあります。
作り方は非常にシンプルです。フライパンに油をひかずに温め、市販のパックご飯を開封して平らに広げます。その上に調理用ハサミでカットした具材（ツナマヨ、鮭フレーク、高菜、梅干しなど）をのせ、醤油や塩で味付けします。
そのまま蓋をして弱火で5分ほど加熱すると、底面がカリッと焼けて香ばしいおこげができ、おにぎりのように手で持って食べられます。
ラップに包む必要がないので、ゴミも少なく済むエコな一品です。旅先の特産品をトッピングすれば、その地域ならではの味も楽しめます。
車中泊の夕食を彩る人気メニュー
一日の終わりに楽しむ夕食は、車中泊旅の大きな楽しみの一つです。日中の観光や移動で疲れた身体を癒し、明日への活力を補給するために、少し手間をかけても満足度の高いメニューを作りたいものです。
ここでは、限られた車内空間でも作れる、見栄えも良く、旅の思い出に残る夕食メニューをご紹介します。夕焼けや星空を眺めながら味わう特別な一皿が、旅の充実感をさらに高めてくれるでしょう。
鉄板焼き風ビーフステーキ
車中泊でもちょっと贅沢な気分を味わいたい時におすすめなのが、スキレットやフライパンを使った鉄板焼き風ステーキです。特に50〜60代の方に人気で、少量の良質な肉を味わうことで満足感を得られるコスパの良いメニューです。
あらかじめ薄めのステーキ肉を購入しておくと調理が簡単です。スキレットを高温に熱し、塩コショウした肉を両面さっと焼くだけ。焼いている間に調理用ハサミでパプリカやズッキーニなどの野菜を大きめに切り、肉の焼き加減を見ながら空いたスペースで焼きます。
肉に火が通ったら取り出して休ませ、その間に野菜を焼き上げます。仕上げに肉を食べやすい大きさに調理用ハサミでカットし、七味唐辛子や岩塩などでアクセントをつければ完成です。
ステーキソースやポン酢などお好みの調味料で召し上がれ。
簡単アヒージョ
オリーブオイルでにんにくと食材を煮込むスペイン料理「アヒージョ」は、ガスバーナーと小さな鍋があれば簡単に作れる車中泊の晩酌にぴったりのメニューです。調理の香りで車内が良い香りに包まれるのも魅力の一つです。特にワイン好きの40〜50代の方々から絶大な支持を受けています。
準備するのは、オリーブオイル、にんにく、唐辛子、そして具材です。具材は、エビ、マッシュルーム、ジャガイモ、ウインナーなど、調理用ハサミでカットできるものを選びます。小さな耐熱容器にオリーブオイルを入れ、薄切りにしたにんにくと唐辛子を加えて弱火で熱します。
香りが立ってきたら具材を加え、じっくりと火を通します。パンがあれば、オイルを浸して食べるのも格別です。保存のきく材料で作れるため、買い出しが難しい場所での車中泊でも重宝します。
デザート＆ドリンクで車中泊をより特別に
一日の締めくくりや、小腹が空いた時に楽しめるデザートやドリンクは、車中泊の楽しみをさらに広げてくれます。特に星空の下で味わう甘いものは格別です。
ここでは、最小限の道具で作れるスイーツと、車内でも本格的に楽しめるドリンクをご紹介します。疲れた身体と心を癒す一時は、旅の素敵な思い出となるでしょう。
焼きマシュマロサンド
キャンプの定番「スモア」を車中泊向けにアレンジした簡単スイーツです。特に20〜30代の若い世代や、お子さん連れの家族に人気があります。通常のスモアよりも材料が少なく、手軽に作れる点が車中泊にぴったりです。
用意するのは、マシュマロとビスケットだけ。マシュマロをフォークや竹串に刺し、ガスバーナーの炎で表面が少し焦げるまで炙ります。焼けたらビスケット2枚で挟むだけで完成です。
焼きマシュマロの熱でチョコレートが溶けるオリジナルのスモアと違い、チョコレートなしでもマシュマロの甘さだけで十分美味しく、片付けも簡単です。市販のビスケットやクッキーの種類を変えることで、味のバリエーションも楽しめます。
アウトドアドリップコーヒー
車中泊の朝や、夕食後のひとときに楽しむ本格コーヒーは、多くの車中泊愛好家にとって欠かせない楽しみの一つです。特に40〜60代の方に根強い人気があり、旅先での「自分だけの贅沢」として大切にされています。
ドリップコーヒーを楽しむには、折りたたみ式のドリッパーか、使い捨てのペーパードリッパーを用意します。お湯を沸かし、カップの上にドリッパーをセットし、コーヒー粉を入れたら、ゆっくりとお湯を注ぎます。
淹れたてのコーヒーの香りが車内に広がる瞬間は格別です。豆は事前に挽いておいたものを密閉容器に入れて持参するか、旅先の地元ロースターで購入するのも旅の楽しみの一つになります。
私は各地の名産コーヒー豆を少しずつ購入し、旅の記念にしていました。その土地の風景と一緒に味わうコーヒーは、何物にも代えがたい思い出になるでしょう。
車中泊料理の時短＆省スペーステクニック
限られた車内空間と道具で料理を楽しむには、ちょっとしたコツが必要です。10年以上の車中泊経験から編み出した、効率的に美味しい料理を作るためのテクニックをご紹介します。
これらのポイントを押さえることで、初心者でも車中泊料理の失敗を減らし、より充実した食事タイムを過ごせるようになります。車内という特殊な環境だからこそ、事前の準備と工夫が大切です。
下ごしらえは自宅か広いスペースで
車中泊料理をスムーズに進めるコツは、できるだけ下ごしらえを済ませておくことです。特に切る作業は、自宅や道の駅の広いスペースで済ませておくと、車内での調理がグッとラクになります。これは車中泊初心者から熟練者まで、全ての年代に共通して役立つテクニックです。
肉や魚は自宅で一食分ずつラップやジップロックに小分けにして冷凍しておくと便利です。解凍しながら調味料に漬け込むことで、味も染み込みやすくなります。野菜も調理用ハサミで切れる大きさに事前にカットし、密閉容器に入れておけば、調理時間が大幅に短縮できます。
また、塩、胡椒、醤油などの調味料は小さな容器に移し替えたり、使い切りサイズを用意したりすると場所を取らず便利です。私は旅の日数分の調味料をピルケースに入れて持参する方法を10年来愛用しています。
「一つの鍋で完結」レシピの活用
車中泊料理の基本は「一つの鍋で完結するレシピ」です。洗い物が少なく済み、限られたスペースでも効率的に調理できるのが最大のメリットです。特に50〜60代の方には、片付けの手間が少ないこの調理法が人気です。
典型的なワンポット料理としては、前述のパスタの他に、リゾットや雑炊、カレー、シチューなどがあります。作り方はいずれも同様で、最初に香味野菜や肉類を鍋で炒め、その後に米や水、調味料を加えて煮込むだけ。
特に市販のレトルトカレーやシチューのルーを活用すれば、アウトドア感覚を楽しみながらも、安定した美味しさを楽しめます。
また、余った料理を翌朝のメニューにアレンジするのも車中泊料理の醍醐味。夕食で作ったカレーを朝に温め直し、目玉焼きを添えた「カレー朝食」は疲れた体に染みる美味しさです。
まとめ：車中泊の「食」を存分に楽しむために
車中泊の食事は、決して「我慢の料理」ではありません。むしろ、自分好みにカスタマイズでき、その時々の気分や立ち寄った場所の食材を活かせる、自由度の高い楽しみ方ができます。
年齢や経験を問わず、「作る喜び」「食べる楽しさ」「片付ける手軽さ」のバランスが良い、車中泊ならではの食文化があるのです。
私自身、10年以上の車中泊旅行で培った経験から言えることは、「シンプルであることが最高の贅沢」だということ。限られた道具と材料でこそ、創意工夫が生まれ、思いがけない美味しさに出会えるのが車中泊料理の魅力です。
特に調理用ハサミ一つで食材を手軽に加工できることと、コンパクトなガスバーナーで本格的な火調理ができることは、車中泊料理の可能性を大きく広げてくれます。
最後に、どの年代にも共通するアドバイスをお伝えします。20代の方は手軽さと経済性を重視したメニュー、30〜40代の方は準備と効率を意識したレシピ、50〜60代の方は健康と満足感のバランスが取れた食事を心がけると良いでしょう。
そして何より大切なのは、その土地の食材や名産品を積極的に取り入れ、「旅ならでは」の食体験を楽しむこと。車中泊ならではの自由な食事タイムが、きっとあなたの旅の思い出をより豊かなものにしてくれるでしょう。
※車中泊での調理は、換気や火の扱いに十分注意してください。車内での火器使用は危険ですので、必ず車外で行うか、専用のポータブルクッカーを使用するようにしましょう。また、季節による食材管理にも気を配り、安全で快適な車中泊ライフをお楽しみください。
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CB缶専用のシングルバーナーでも、OD缶が使える変換ホースです。これがあると、便利です。
おすすめは、CB缶が使えるガスバーナーです。カセットコンロ用のガス缶はどこでも手に入るからです。
このサイズは、ソロキャンプでも車中泊でも、手ごろなサイズでじゃまになりません。一つあると車中泊やアウトドアで便利に使えますよ！
