今回は車旅で軽バンに生活電力をどのように供給するかの例を説明したいと思います。
もうこのブログを読まれている方は、すでに車旅の経験をお持ちの方だと思いますのでUSBのメリットから書きます。
キャブコンやバンコンの様に大型テレビ、冷蔵庫、電子レンジ、クーラー、温風器等の電力を多く消費する家電は今回は使いません。3泊4日程度の短期間の旅なら料理をしたり集中して楽しむでので冷蔵庫や電子レンジもあるととても便利です。
目次
長期の車旅では、シンプルな設備になっていく。
長期間の車旅となると3食の食事は毎日の自分で行う作業になります。経験では地方のスーパーやコンビニも利用しながらバリエーションを持たせた生活になります。なので電子レンジやグリル、ギャレー等は殆ど使いません。排水も道の駅では流せません。出るごみも極力減らします。
実際に長旅を経験すると、利用する道具は、だんだんシンプルになっていきます。いらない物も多数ありました。最小限の必要なもので十分になってきます。
今年10月に行った西日本・九州の旅では下のルートで総距離数3,745㎞。14日間の行程でしたが、想定した範囲で十分な電力を得ることができました。
(往路:日本海ルート 2,018km)千葉(自宅)→埼玉→群馬→山梨→長野→岐阜→福井→島根→鳥取→山口→北九州→福岡→佐賀→熊本→鹿児島(最南端:佐多岬)
(復路:太平洋ルート 1,727km)鹿児島→宮崎→大分→北九州→山口→広島→岡山→兵庫→大阪→奈良→和歌山→愛知→静岡→神奈川→東京→千葉(自宅)
結果を先に言うと、全てソーラパネルで発電した電気をサブバッテリー12Vに蓄電し、全ての電化製品はUSB5V仕様に統一しました。シンプルで十分な電力が得られ問題はありませんでした。
ソーラー発電とUSB供給にした理由
排気量660㏄の軽バンでは、2000㏄を超える大きなバンコンやキャブコンとは違ったスタイルとなります。どのようにエネルギーを節約できるか、まさにエコな設備が必要となってきます。
この小さな軽バンでも大きな車と大差なく、日本一周の長期車旅が実現できるかどうかに挑戦する醍醐味があります。小さなヨットで太平洋を横断するような感じです。ここが面白いところであり、ドキドキしてハマってしまった理由です。
軽バンのエンジンからの発電量
軽バンのオルタネータ―(発電機)は発電量が小さく、メインバッテリーの容量も小さいので、搭載する様々な電装品に十分な電力供給がなされるかどうかが課題でした。
ハイエースの発電量は約100A~130Aですが、クリッパーバンの発電量は50Aで半分の発電量です。
オルタネーターは普通使用される回転域で充分な電圧と電流が発電されるように作られていて、軽自動車の場合は2000rpm以上あれば十分な発電量になるように設計されています。2000rpmを超え高回転になって電圧が上がってもレギュレーターが制御して、安定した電圧で電力の供給ができる様に制御されています。
寒冷地では発電量を多く必要とため、発電機の出力をアップすることもあるそうです。今回はノーマル使用として検討しています。
そこで基礎知識として、エンジン、発電機、メインバッテリーがどの様な関係か調べました。
エンジン始動から走行まで:古い車の例。(HV系は除く)
(1)キーを回す。メインバッテリーでセルモーターを回しエンジンを始動。
(2)エンジン始動後、発電機が発電開始。
(3)発電された電気は、メインバッテリーを充電・電装品にも供給。
(4)メインバッテリー充電完了後、殆どが電装品に使われる。
市販の車は、このバランスが取れた状態で設計されています。
サブバッテリーの充電方法。
通常のキャンピングカーで電気を多く使う場合は、メインバッテリーの負担を減らすため、サブバッテリーを使うのが定番ですね。その充電方法が分かれ道となり、今回のテーマとなりました。
サブバッテリーへの充電方法は以下の3種類です。
走行充電
走行中、或いはアイドリングしながらメインバッテリーを充電し、充電が完了するとサブバッテリーに自動的に切替えて充電するシステムで、多く用採されているようです。
切替えを自作している方も見かけましたが、大電流を扱うため技術が必要ですね。
メインバッテリーとサブバッテリーの相互関係や、制御装置、或いはサブバッテリーの種類による充電電圧・電流の制御、接続方法の種類などの知識が必要です。
この辺は色々研究しているキャンパーの方が多くいて関心します。
ソーラー発電によるサブバッテリーの充電
車の発電機ではなく、ソーラーパネルからサブバッテリーに充電するシステムです。
走行充電が止まったら、ソーラー充電に切り替えるシステムを自作された方もありました。これは技術が要りますね。
通常ソーラーパネルで発電された電気は、コントローラーに送られサブバッテリーへの充電に使われます。コントローラーにはバッテリーに繋げ充電する端子と12V出力の端子があります。自分のはUSB出力2A2ポートを備えています。
ポータブル電源、或いは充電したバッテリーを使う。
最近流行のリチュームイオンバッテリーを使った軽量でコンパクトなポータブルバッテリーが便利になってきました。高価ですがソーラー、シガレット、家庭用100Vでも充電できる商品もありメリットが大きいですね。
自動車用の鉛バッテリーを使う方もいます。
自分も最初は使うときだけ持ち込んでいました。ただし、充電中に水素を発生しますで、車外に置いてソーラー充電していました。通常は自宅で充電完了したものを持ち込んで使っていました。
(福島県 道の駅しもごう 右端) 初めは釣りの三脚に引っ掛けていた。
36Ahのバッテリーにソーラーのコントローラーを取付けてどこでも自由に移動して充電できるようにしていましたた。
重いです・・・
メインバッテリー系と完全に切り離すメリット。
様々なシステムを検討しました。
その結果としては、シンプルな方法を採用することにしました。
それは、完全に車のシステムから切り離すことです。
メインシステムに負担を掛けない。
軽自動車のオルタネータの発電電流は普通50A程度で、発電電圧14Vとして700w(0.7Kw)程度の発電量です。メインバッテリー充電と全ての電装品の電力をまかないます。
700wって自宅だったら何が使えるでしょうかね~。ほぼ省エネエアコン1台程分ですね。
軽バンのエンジン出力は48㎰(馬力)と微力です。その内、約3㎰(馬力)が発電に使われているのです。
少ない発電量で小さなメインバッテリーの充電をはじめ電装品を賄います。できるなら少しでも出力を走行に使いたいものです^^
そこに、大出力のオーディオをはじめあれやこれやと多くの電装品をつけるとメインバッテリーに負担をかける「電気くい虫」になってしまいます。
車の改造がいらない。
全く別システムなので、電装系の改造がいらなくシンプルなモデルになるのです。
自分の軽バンの場合
バッテリ12V系から、USB5V系に電装品を統一しました。
ソーラーで発電した電気は、12Vのディープサイクルバッテリー20Ahを充電します。
バックアップ用に50Wソーラー1セット追加して,計2セット搭載しました。
サブバッテリーからその先は全てUSB系にしています。
以前は、12Vからインバーターで100Vに上げてPC(9v変圧)やTV(100V)の電源としていました。
一般的なインバーター(DC12VをAC100Vに変換)自体がロスする電力は10~15%程もあります。USBに比べるとかなり効率的ではないと考えました。
例えば300Wのインバーターで最大効率90%の場合、無負荷時16W、最大効率時で33W程度の電力が熱になって失われます。USB(5V)への変換損失は、2AのUSBでも4W程度です。電力ロスに大きな違いがでてきます。
よって、インバーターにも頼らず、ソーラー発電とサブバッテリーのみで電力を供給するエコなUSB化の方法となりました。
USB接続で使っているもの
タブレット(Windows10)キービード・マウス:電源はUSB充電、
スマホ、TV、ミラーレスカメラ、iPod
扇風機 2台
室内照明 USB電球、他USB照明2台
USBソケット (全部で10ポート) 各種電装品用(WiFiルータ等)
◆使い勝手は?
(1)室内、床下などが広くなったり。
(2)この夏(37度の猛暑)でも冷蔵庫を使わずポットが大活躍した。
(3)USB接続機器が増えており、不満は生じなかった。
(4)スマホやTVなど、USBポートが多く同時に充電ができた。
(5)ソーラー充電の20Aの小さなディープサイクルバッテリー2台で十分14日間の電力を供給してくれた。
この1年間素人なりに様々なシステムを考えた結果、単純でシンプルなUSBシステムにたどり着きました。
バッテリーは、間違った使い方をすると爆発などとても危険なものになります。十分エンジニアと相談しながら進めることが大事です。ご参考まで。
tabito(旅人)