いつから車旅が好きになったのか、いまだにわからないのです。
でも、ひとつだけ鮮明に今でも残っている記憶があります。
父はすでに30年近くまえに元気にあの世に行ったのですが、その父との思い出です。
父はたたき上げの長距離トラックの運転手で主に東北から東京までの区間を定期便で走っていました。
それは昭和30年代の戦後復興の間もないころです。
ぼくはまだ幼稚園に行き始めたころかもしれません。
父は休みになると、会社から小型のピックアップ(トラック)を持ってくることがたまにあったようです。
ある晴れた日、父はぼくをトラックにのせて湖に連れて行ってくれました。
そのトラックは運転席と助手席が繋がったベンチシートです。
お母さんがおにぎりとお茶を水筒にいれてくれました。
何時間走っただろうか・・・
山の峠を越えると青い色の湖が見えてきたのです。
山にある湖にのよこにやってきました。
そこは道幅が狭く、途中にすれ違えるわずかな空き地があって、そこにトラックをとめました。
父は、とらっくから、ベンチシートをはずして持ち出してきました。
そのシートを空き地に置いて、そこで父とぼくはお母さんが作ってくれたおにぎりを食べたのです。
それがものすごくおいしかった記憶があります。あったかいお茶も湖を見て飲むのは、これまた美味しかった記憶が残っています。
ただ、風が吹くと舗装していない山道は砂ホコリがたっていたのを覚えています。
そんな思い出が残っていて、車中泊の旅にでると思い出すのです。
ぼくは何時間でも車の運転ができます。一番遠いのは能登半島の輪島から琵琶湖を経由して東京まで1000㎞をほぼノンストップで運転しても疲れないのです。
カエルの子はカエルなんだな・・・
ぼくが車中泊のひとり旅が好きになった原風景なのかもしれません。